パブリックDNSとは?
パブリックDNSというものを聞いたことはないでしょうか?
パブリックDNSとは誰でも使える公共DNSのことで、利用するとウェブサイトへのアクセスを高速化できたりします。
ウェブサイトにはドメイン(aprico-media.comやgoogle.comなど)が割り当てられていますが、このドメインには必ずIPアドレス(インターネット上の住所)が紐付いています。
ウェブサイトが設置されているサーバーにアクセスするためにはIPアドレスを知る必要があるのですが、ドメインからIPアドレスを特定できるのがこのDNSです。
DNSの詳細は省略しますが、このDNSをより便利かつ安全性を高められているのがパブリックDNSです。
パブリックDNSのメリット・デメリット
パブリックDNSがいろんなところで使われているということは、使う価値があるほどのメリットが存在するということです。
その反面、少なからずデメリットも存在するので、それぞれ順番に見ていきましょう。
メリット
まずはパブリックDNSを利用するメリットを見ていきましょう。
通信速度(レスポンス)が早くなる
パブリックDNSを設定するだけで通信速度(レスポンス)が向上することもあります。
後ほど紹介しますが、世界中で使われているキャッシュサーバーを提供しているクラウドフレアが提供しているパブリックDNSはかなり性能が高く、通信速度が大幅に上昇します。
プロバイダに依存しない
Wi-Fiは光回線やWiMAXなどを提供しているプロバイダがDNSサーバーを提供しています。
ですが、ブロバイダ提供DNSサーバーに何らかの障害があった場合、インターネットに繋がらなくなってしまいます。ですが、パブリックDNSに切り替えることで、DNSにおいてプロバイダに依存することがなくなるため、インターネットに繋がるようになる可能性があります。
また、何らかの原因でプロバイダーのDNSサーバーが混雑していた場合、その混雑も回避できるのでより快適にインターネットを利用できます。
セキュリティを高められる
飲食店などにある公共フリーWi-Fiは通信が暗号化されていないことが多いだけでなく、フリーWi-Fiに付随するDNSが使われます。
そのDNSが細工されていた場合、フィッシング詐欺サイトにアクセスさせられてしまうなどの危険性がでてきます。
ですが、パブリックDNSを事前に設定しておけばフリーWi-FiのDNSを使うことがないため、フィッシング詐欺サイトへの誘導などの危険を回避することが可能です。
デメリット
パブリックDNSは便利ではありますが、少しだけデメリットも存在します。
「パブリックDNS=安全」ではない
パブリックDNSはGoogleなど有名な企業やサービスが提供していることが多いので「パブリックDNS=安全」と勘違いしがちです。
ですが、パブリックDNSは誰でも提供することができるため、ハッキング・フィッシング詐欺目的などの悪意あるパブリックDNSや、無断で通信ログ作成、接続の制限を行っていることもあります。
そのため、何もわからずにパブリックDNSを設定すべきではありません。
パブリックDNSの選び方
パブリックDNSはたくさんあり、DNSによって特徴が異なります。
続いてはパブリックDNSの選び方を解説します。
利用目的
パブリックDNS選びで一番大切なのが、「何のためにパブリックDNSを利用するのか」というポイントです。
パブリックDNSごとに機能性などが異なるので、自分がどの目的に当てはまるか見てみてください。
通信速度向上目的
プロバイダが提供しているDNSは速度が遅いことがあります。そこで通信速度が速い(DNSサーバーでの処理が早い)パブリックDNSに設定を変更することで、通信速度が大幅に向上します。
この場合は、通信速度が良いと言われているパブリックDNSを利用しましょう。
安全性重視
DNSサーバーによっては危険なサイトへの接続を遮断(フィルタリング)してくれるものがあります。
そういったパブリックDNSを使えばペアレンタルコントロールにも活用できるほか、パソコンのウイルス感染被害なども予防できます。
広告除去目的
パブリックDNSの中には自動的に広告を除去してくれるものもあります。
広告が嫌いな方にとっては大変便利ではありますが、DNSサーバー上で広告除去処理を行う都合上、通信速度が大きく低下してしまうことも少なくありません。
そのため、広告ブロック目的でパブリックDNSを使う際は通信速度に注意が必要です。
信頼性
パブリックDNSは仕組み上だれでも提供できるので、中には悪意を持った方が公開しているパブリックDNSも存在します。
また、悪意はなくてもDNSサーバーの動作が不安定で突然インターネットに繋がらなくなることが増えることもあるでしょう。そのため、使おうとしているパブリックDNSは信頼できるかどうかも大切です。
信頼性重視の場合は、Googleなど誰もが知る大手企業が使っているパブリックDNSを使用するのが確実でしょう。
パブリックDNSのおすすめ
ここからは、実際に使われているおすすめのパブリックDNSをいくつか紹介していきます。
設定方法はこのあと解説しているので、どのパブリックDNSを使うか決めてみてください。
Google Public DNS
- IPv4アドレス:8.8.8.8 / 8.8.4.4
- IPv6アドレス:2001:4860:4860::8888/2001:4860:4860::8844
接続制限も行われないため、標準のDNSでは接続できない・トラブルでインターネットに繋がらないというときも、Google Public DNSを設定すれば改善することがあるほどです。
OpenDNS
- IPv4アドレス:208.67.220.123
- IPv6アドレス:2620:119:35::35
OpenDNSは有料版も存在し、有料版OpenDNSはより細かくフィルタリング設定を行うことも可能です。
Cloudflare
- IPv4アドレス:1.1.1.1 / 1.0.0.1
- IPv6アドレス:2606:4700:4700::1111/2606:4700:4700::1001
Cloudflareは世界中で使われている超大規模なキャッシュサーバーを提供しており、なおかつプライバシー機能も強力です。
サーバーリクエスト時に必ず送信されるIPアドレスを保存しないと明言しているので、少しでもセキュリティに不安がある方はCloudflareがいいでしょう。
AdGuard DNS
- IPv4アドレス:176.103.130.130
- IPv6アドレス:2a00:5a60::ad1:0ff
その代わりにDNSサーバーでの処理がほかのパブリックDNSと比べて遅いため、広告がないサイトでも遅くなってしまう欠点があります。
Quad9
- IPv4アドレス:9.9.9.9 / 149.112.112.112
- IPv6アドレス:2620:fe::fe/2620:fe::9
Quad9を使うだけでウイルス感染リスクを減らせますが、通信速度は遅めですので注意してください。
パブリックDNSの設定方法
ここからは実際にパブリックDNSを設定する方法を解説します。
設定方法はどのパブリックDNSも同じですので、ここでは例としてGoogle Public DNSを設定する手順を解説します。
新しく「ネットワークと共有センター」のウィンドウが開かれます。
Google Public DNSは「8.8.8.8」と「8.8.4.4」の2つありますので、優先DNSサーバーに「8.8.8.8」、代替DNSサーバーに「8.8.4.4」を入力しましょう。
これでパブリックDNSを設定できました。
1桁でも間違えるとインターネットに繋がらなくなる可能性があるので、入力間違いには注意しましょう。
IPv6アドレスについて知らない・使っていない方は設定しなくて構いません。