MBRとGPTの違いとは?
MBRとGPTについて知っていますか?HDDやSSDは初期化する際MBR・GPTのどちらかを選択する必要があり、選択したオプションにしたがって初期化・フォーマットされます。
MBR・GPTはカンタンにいうとディスクパーティーションの構造のことで、パーティション分割情報や整合性チェック用データなどが管理されます。
MBR・GPTどちらを選んでも大丈夫なのがほとんどですが、使い方によっては問題が起きることもあります。MBRとGPTそれぞれどのような違いがあるのかまずは見ていきましょう。
先に登場したのはMBR
MBRは1983年3月に登場した技術で、今現在も使われています。
それに対してGPTは1990年後半にUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)の一部として開発されて少しずつ普及、現在もMBRと並行して使われています。
MBRとGPTの構造
HDDやSSDは、ただただデータを保存できるディスクドライブというわけではありません。
パーティションテーブルエントリやパーティションごとの領域など、ディスクドライブに必要な情報が決まった構造で保存されています。
MBRはマスターブートレコード・ディスクのパーティションテーブル・ディスクシグネチャの3要素で構成されています。
それに対してGPTは、マスターブートコード・誤動作による上書きを防ぐ保護MBR(MBRでいうディスクのパーティションテーブルに相当する領域)・プライマリーGUIDパーティションテーブルヘッダー・プライマリGUIDパーティションエントリ配列・バックアップGUIDパーティションテーブルヘッダによって構成されています。
MBRと比べてGPTはかなり多くの要素で構成されているのがわかるはずです。
セキュリティが高いのはGPT
GPTは誤動作による上書きから保護する「保護MBR」や冗長性確保のためのバックアップ用パーティションテーブルが構造で定義されています。
さらに、パーティションデータコードの整合性(正確性)を高めるためにCRC32フィールドを使用するため、MBR構造と比べてとても高いセキュリティを実現しています。
CRC32とはデータに間違いがないかどうか調べるための誤り検出符号のことで、転送されるデータに間違いがあれば検出して自動的に修正してくれるため、データセキュリティを高められます。
サポートされるパーテーションが異なる
MBRとGPTとでは、サポートされるパーティション数が異なります。
MBRは最大4つまでプライマリパーティションエントリーを保持できるため、ディスク領域を最大4分割して使用することができます。それ以上分割したい場合は分離パーテーションを作成する必要があります。
それに対してGPTは理論上無制限にパーティション分割することができ、ディスク領域を100個以上に分割することが可能です。ただし、Windowsだとパーテーションの上限は128個に制限されています。
扱える最大容量が異なる
MBR・GPTかどうかによって扱える最大容量が変わってきます。
MBRは、最大2TBもしくは16TBのディスク容量しか使えません。
そのため、32TBのハードディスクを用意したとしても、MBRに初期化・フォーマットすると最大2TB、4Kネイティブセクタを使用しても16TBしか使用できません。
それに対してGPTは16TB以上のディスク容量も扱うことができ最大容量制限の問題に引っかかることはありません。
GPTは8ZB(ゼタバイト)まで対応しており、MBRの43億倍の容量まで対応できます。つまり、容量の上限で問題になることが現状だとありえないため、GPTなら気にする必要はありません。
互換性が異なる
Windows OSの場合、MBRかGPTかによって動作が異なります。
Windows Vista以降のWindows OSはセキュリティを高めたUEFIブートモードがサポートされており、UEFIブートモードを有効化している64 bit OSの場合はGPTで初期化されているディスクドライブのみ使用できるようになっています。
ブートモードが異なる
先ほど紹介したUEFIブートモードの他にレガシーブートモードが存在します。
レガシーブートモードのみをサポートしているマザーボードだった場合、GPTではなくMBRディスクからOSを起動することができます。
ただし、レガシーブートモードだった場合はGPTディスクから起動することができないため、WindowsがGPTディスクにインストールされた状態でレガシーブートモードのみに対応しているPCで起動すると、起動に失敗します。
現在のパソコンで使われているマザーボードはレガシーブートモードとUEFIブートモードの両方をサポートしているので、設定さえ間違っていなければMBR・GPTどちらのディスクでも起動することが可能です
自分のPCがMBR・GPTのどっちなのか確認する方法
自分のPCで使用しているディスクドライブがMBR・GPTどちらなのか確認する方法は簡単です。
MBR・GPTについて確認したい場合はこの流れに沿って行いましょう。
MBRとGPTでどっちが良いの?
結局のところMBRとGPTどちらがいいのかわからない方も多いと思いますので、ケース別にどちらがおすすめなのか解説します。
ディスク容量が2TB以上の場合
ディスク容量が2TB以上の場合は、Windouws OSをインストールするかどうかにかかわらずGPTフォーマットしましょう。
MBRだと4Kのネイティブセクタを使用すれば最大16TBまで対応できますが、お勧めはしません。
GPTならセクタのことを気にせずディスクドライブが使える容量全て使用できるので、大容量のHDDを使う場合はGPTで初期化しましょう。
64bitのWindows OSをインストールする場合
64bitのWindows OSをインストールする場合はGPTがベストです。
64bitのWindowsはUEFIセキュアブートでGPTディスクから起動するため、MBRでは不適切です。
実際に、今使っているWindowsがインストールされているドライブがMBR・GPTどちらになっているか確認すると、ほとんどの場合がGPTになっているはずです。
32bitのWindows OSをインストールする場合
32bitのWindows OSをインストールするのであれば話は変わってきます。
GPTディスクからWindowsを起動できるのは64bit版Windowsのみであるため、GPTフォーマットされたディスクは32bit版Windowsの起動に使えません。
ですので、32bit版Windows OSを使用する場合はMBRディスクを使いましょう。
パーティーションを5つ以上分割する場合
パーティション分割数が5個以上になる場合はGPTディスクにしましょう。MBRでも論理パーティションを作成することで5つ以上パーティションを分割できますが、あまりお勧めはしません。
GPTなら論理パーティションのことを気にせず理論上無制限(Windowsでは128個に制限)にパーティション分割できるのでおすすめです。
マザーボードがUEFIブートをサポートしていない場合
UEFIブートをサポートしていないマザーボード、すなわちレガシーブートモードにのみ対応しているマザーボードを使っている場合はMBRにフォーマットしましょう。
レガシーブートモードではGPTディスクにインストールされたWindowsを起動できません。